十郎兵衛屋敷に行ってきました。
4月30日(木)、阿波十郎兵衛屋敷へ社会見学、人形浄瑠璃の鑑賞に行ってきました。
県条例により、身障割引もさることながら手話通訳者や盲ろう向け通訳介助員等の意志疎通支援に係る者は入館料が無料という扱いに驚きました。
その上、県外からやってきたお遍路さんを含む他のお客さんを含めて、困惑した表情も一切なく、すべてが一体となって人形浄瑠璃を楽しみ、歴史文化に触れることの素晴らしさを共有できたことが、何よりも大きな収穫でした。点よりも線、線よりも面へと、抵抗なく互いに触れ合えることの空気感が心地よく、「ここで、みんなと楽しめた。生きてて良かった。」と実感できた貴重な社会体験だったのではと思います。
高齢ろうのYさんが言います。「傾城阿波の鳴門に出てくるお弓とお鶴の哀話は聞いたことがあるが、実感が湧かなかった。今回の浄瑠璃は内容や流れが即座に理解でき、生まれて初めて感動して涙した。行って良かったなぁ。」
これらは、紛れもなく、職員の方の対応の素晴らしさによって実現できたものです。
人形浄瑠璃の動きだけでなく、親子の悲哀や心情を表現する義太夫(ぎだゆう)の語り音楽を、間や抑揚を顔の表情で変化を作り、手話で表現することの難しさを知った職員と手話通訳者が事前に互いの良さを引き出し合い、原稿をもらいアドバイスを交わしながら表現の工夫をしている様子を他のお客さんが見て、雰囲気的に応援したくなったのだと思います。
このように、真剣に私たちの存在を認め、真摯に向き合おうとする職員の姿勢が手話通訳者だけでなく、他のお客様にも素晴らしい影響を与えてくださったのです。
これぞ、「合理的配慮」のお手本というべきではないでしょうか。
阿波十郎兵屋敷の職員の皆さん、手話通訳者、盲ろう者向け通訳介助員の皆さん、ありがとうございました。